判例

平成23年12月01日最判 (悪意の受益者)

 過払い金返還請求も、終焉を迎えつつありますが、悪意の受益者(民704)に関する判例が12月1日に出てますので、一応ご紹介。
「リボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は,17条書面には上記記載を要するとした最高裁判所の判決以前であっても,当該貸金業者につき民法704条の「悪意の受益者」との推定を覆す特段の事情があるとはいえない」
という趣旨の判決です。

 悪意の受益者に貸金業者が該当すれば、過払い金元本に法定利息5%付して返還する義務があるということになり、場合によっては、貸金業者が返還すべき金額も大きく違ってきます。
 ですから、少し前までは、この悪意の受益者に該当するかどうかを争点に、何度も法廷に足を運んでいました。
最高裁判決としては、特にそんなに目新しい感じではないのですが、最近は悪意の受益者として過払い金を計算すると理論上は相当高額な過払い請求権があるにもかかわらず、結局ほとんど回収できないことがあります。
 簡裁に行っても、以前は過払い請求訴訟の弁論期日の順番待ちで、傍聴席はいつも満杯という感じでした。
最近被告事件を数件引き受けて、簡裁に行ってみると、数人が傍聴席で待っているだけで閑古鳥が鳴いてます。
隔世の感は否めないです。
 


プロミスと子会社との契約切替事件(9月30日最判)

 ちょっと、おそくなりましたが、重要判例がでたので、紹介しておきます。
今まで、散々当職を含め、周りの同職も苦労してきたので、ホッとしました。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110930144558.pdf

http://www.kabarai.net/judgement/promise.html
1.貸金業者であるY(プロミス)がその完全子会社A(株式会社クオークローン)の顧客Xとの間でAX間の取引をYX間の取引に切り替える趣旨で金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結するに当たり,AのXに対する過払金等返還債務を含む全ての債務をYが引き受ける旨合意したものと解された事例(破棄差戻し)

2.タンポート→プロミスの一連計算を否定した東京高判平22年12月8日を不服として上告受理申立した事件の最高裁の判決。平成23年9月2日に弁論が開かれ、9月30日午後1時30分に判決が言い渡された。クオークローンで発生した過払金が、プロミスに承継されることを認め、かつクオークローン取引とプロミス取引を一連のものとして過払金の金額を計算すべきであると判示した。

次は、アコムの悪意の受益者推定覆滅に関する、最高裁判決がでます。

借主側の上告が受理され、11月24日に口頭弁論が開かれるそうなので、

やっと、原則に戻り、悪意の推定が覆ることはなくなるものと期待しています。
 


先週の最高裁判例

先週の7月14日、15日と立て続けに、消費者関係の最高裁判決がでました。

7月14日最判は、平成20年1月18日最高裁判決、すなわち、充当できるか否かについて6っの要件を示して、評価すべきでるところ、ちゃんと評価してから、一連充当か、別計算かの判断するべきだと言っています。これは、まあ、理解できなない訳ではありません。が、しかし、翌日の更新料有効判決はおったまげ!としか言いようがありません。いままでの流れからは考えられません。

時間のあるときに検証します。

司法書士佐田事務所HP消費者問題解説へ 


敷引有効:最高裁判決 平成21年(受)第1679号 平成23年03月24日判決第1小法廷棄却

この裁判では、京阪神間でよくある、賃貸住宅の敷引特約が消費者契約法第10条に該当し、無効なのかどうかが、争点となっていました。

 実は、私はこの事件が最高裁で受理されて、判決が出る前に、全く同じパターンで、敷引特約が消費者契約法10条に該当し無効であるという論旨の下、敷金全額の返還請求訴訟を提起していました。第1回目の期日の2週間前にこの最判が出たので、正直焦りました。しかし、この判決論旨では、すべての敷引特約が有効だと言ってるわけではないのです。

以下同判決核心部分の引用

「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当である。

(3) これを本件についてみると,本件特約は,契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金から控除するというものであって,本件敷引金の額が,契約の経過年数や本件建物の場所,専有面積等に照らし,本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。また,本件契約における賃料は月額9万6000円であって,本件敷引金の額は,上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて,上告人は,本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。
そうすると,本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。」

最近の最高裁判決はこういう感じの多いですね。結局よく分からない。本判決も「結局どれくらいなら敷引OK」なのかは「一時金の支払いがあったかどうか」、「契約年数」、「賃料との比較でその時々で、妥当な範囲」で有効って言ってるんですよね。

「過払い金の一連充当計算可能か、別取引か」の平成20年1月18日付の判決も、基準を7つも示しておきながら、じゃあそのうちどれくらい該当したら、一連充当OKなのかは全く不明でした。(ここで重要なのは、別取引となってしまうと、前の取引が時効にかかってしまうことがあり、金額が大きく異なってしまうことです)。

世の中が複雑化していて、価値観も多様化しているので仕方ないと思います。しかし具体的ケースではどれも少しづつ、個性が違うのは仕方ないとして、裁判官の考え方も統一的でなく、時々開示される裁判官の心証も予想外だったりします。心証開示というのは、提起された訴訟事案についてについての中間意見みないなものです。だいたいボソッと不利な方に顔を向けて、語りかけてきます。 どき!(汗)という感じです。

大阪家庭裁判所

この裁判所ではありません

 

 で、話を戻して、私が代理人を務めた敷引無効、敷金全額返せの裁判でも、裁判官からかなりはっきりした心証開示がありました。結局5分5分の和解になりました。内容知りたいですか?でも残念ながら心証開示の内容は「秘密=不開示」でお願いします。

 だって、事案ごとに結果がいろいろ異なってくると思うので、かえって参考にならにでしょう。

久しぶりに法律家らしい話題でした。


平成21年3月3日最高裁第3小法廷判決

 やはり今日の裁判所判例検索システムにアップされていますね
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37362&hanreiKbn=01
1月の判決とやはり同じ趣旨でした
予想は慕いましたが気になるのはやはり田原睦夫裁判官の反対意見です。
 これですべて解決とはいかないでしょう。あさって金曜日の同じ論点の最高裁判決が待たれるところです。


過払いの時効の起算点

10分ぐらい前に朝の情報番組(関西ローカル)で過払い金の取り戻しついて弁護士の先生が開設していました。そこで少し気になったことがあります。私がここ最近のどに魚の小骨がひっかかっているような、そんな感じの疑問です。先日の1月22日の最高裁判決はただ単に取引が中断しただけでは、消滅時効は進行しないというふうに読めるからです。時効の進行を始めるが、再借入すれば当然に充当されるとは言っていません。そうすると、貸金業者と明確な取引終了の意思の表示、解約、債務整理通知がなければ時効は進行しないことになります。ただ単にATMで完済し、10年経った場合は、時効は完成していないのでしょうか。判例ではそのように読めるのですが。この点はまた、検討したいと思います。