遺言

遺言執行②遺言で指定できる事柄


遺言で指定できる事項は、実は全て法律で規定されており、それ以外の事項が記載されていても、それは付言事項といって、法律上は拘束力がなく遺言者の希望を述べたに過ぎない事項とされています。以下、遺言で指定できる事項を、解説させていただきます。

(1)絶対的に遺言執行者が必要な遺言事項
①認知(781条2項 認知は、遺言によっても、することができる。):身分上に関する事項  成人の子、死亡した子の直系卑属が成人の場合は本人の承諾
         胎児の認知 母の承諾  
         承諾なければ執行不能
(戸籍法64)  遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、(略)その届出をしなければならない。

②推定相続人の廃除(取消)(892~894条):相続に関する遺言事項
推定相続人廃除申立書」を提出→調停(不調の場合は審判)
 (戸籍法97)同法63条準用 、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない(893条は遺言執行者が届け出ることを定めている)。
廃除の理由がない場合でも、遺言の全趣旨から廃除意思が読み取れる場合は廃除の申立するべき
③一般財団法人設立の意思表示
 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152
  定款作成し署名押印→公証人の認証(同155)
 財産拠出の履行(同157)

(2)執行行為は必要だが遺言執行者の選任が任意的な遺言事項(相続人も執行できる)

①遺贈

②信託の設定(信託法3条2)

③祭祀承継者の指定(民897)

④生命保険受取人の指定・変更(保険法44,73)

(3)遺言執行が不要な遺言事項

①未成年者後見人・未成年者後見監督人の指定(839,848)
 遺言死亡と同時に、遺言で指定された者が就任し、指定をされた未成年後見人が、その就職の日から十日以内に遺言書を添付して届出(戸籍法81)
  遺言によってのみさだめることができる
②相続分の指定・指定の委託(902)
  遺言によってのみさだめることができる
③特別受益の持戻しの免除(903)
相続人甲にはすでに生前500万円を独立のための生計の資本として贈与したところ、  
甲の努力にもかかわらず経営不振のため相続分の算定に当たっては、贈与はなかったものとして相続財産に参入せず、相続分から控除しない
④分割の方法の指定・指定の委託・5年以内の遺産分割の禁止(908)
  遺言によってのみさだめることができる
⑤共同相続人間の担保責任の指定(914)
  遺言によってのみさだめることができる
⑥遺留分減殺方法の指定(1034)
遺贈したもののうちAに対する遺贈から先に減殺する
⑦遺言執行者の指定・指定の委託(1006)
  遺言によってのみさだめることができる
⑧遺言の取り消し(1022)

以上です、結構難しいですね!


遺言執行①執行業務の顕在化


「遺言執行の実務」というテーマで、大阪司法書士会とリーガルサポート大阪支部の共催の研修会の講師を仰せつかり、 先週の7月5日(木)になんとか無事こなして(自分で勝手にそう思い込んでいるだけかも?)先週一週間を終えたと、胸をなでおろして、まったりと日曜日の休日を満喫しているところです。
 軽いノリで「講師お願いできませんか?」とある方から尋ねられ、私も遺言執行はそれなりに経験があったので、二つ返事でOKしたのです。が!
しかし、その後、過去の自分の経験した遺言執行の資料を見ながら振り返り、また、書籍や最判をあたっているいるうちに安請け合いしたことを少し後悔してしまいました。結構解決されていない論点が目白押しだったのです。
 今回は、その中でも比較的はっきりしている論点をご紹介します。
「A不動産を相続人甲に相続させる」というがある場合の、遺言執行の必要性については、下記の最判が基準となり、遺言執行行為は必要ないとされています。
最二小判平成3年4月19日民集45.4.477
特定の遺産を相続人に「相続させる」遺言書の意味
「相続させる」趣旨の遺言は、正に同条にいう遺産の分割の方法を定めた遺言であり、他の共同相続人も右の遺言に拘束され、これと異なる遺産分割の協議、さらには審判もなし得ないのであるから、このような遺言にあっては、遺言者の意思に合致するものとして、遺産の一部である当該遺産を当該相続人に帰属させる遺産の一部の分割がなされたのと同様の遺産の承継関係を生ぜしめるものであり、当該遺言において相続による承継を当該相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時(遺言の効力の生じた時)に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継されるものと解すべきである」
ですから、相続人は他の相続人の協力も必要なく、この種の遺言書を添付して、単独で相続を原因とする所有権転登記ができるわけです。
では、この種の遺言に執行者を専任しておくメリットはないのか?という点については、平成11年12月16日民集 第53巻9号1989頁
で、最高裁はこう述べています。
「特定の不動産を特定の相続人甲に相続させる趣旨の遺言がされた場合において、他の相続人が相続開始後に当該不動産につき被相続人から自己への所有権移転登記を経由しているときは、遺言執行者は、右所有権移転登記の抹消登記手続のほか、甲への真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求めることができる。」
遺言書に記載されていることと相違する登記がなされた場合は、遺言執行者が定められていれば、遺言書に記載された遺言者の意思を実現させるべく、遺言執行者はその義務を負うことになります。これを一般的に遺言執行の業務の顕在化と言われています。


遺言のすすめ、任意後見のすすめ

各A5サイズです

 本日は電子定款の受け取りに公証人役場に行ってきました。
法務省民事局作成の成年後見制度のパンフレットが置いてあったので、役場で待っている間にそれをぱらぱらと見ていると、職員さんから「こんなのもありますよ!」と差し出されたのが、表題のパンフレットでした。
事務所に帰ってパンフレットを読んでみると、さすがに良くできているなぁ、と関心しました。
 でも、一般の方にとって、公証人役場ってそれほど身近とは言えないのも事実。
このパンフレットも市役所や、郵便局に置いておけば良いのに!
と思ったのですが、まあ費用もかかるので、それって無理なんでしょうかね~
とりあえず5部ずつ頂いたので、事務所に来所された方で興味のある方には差し上げようかと思っています。
 


震災特例ほか

東日本大震災などで死亡した人に関し、親族らが「相続放棄」の判断を求められる期限を11月末まで延長する民法特例法(議員立法)が17日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立した。

 「相続を知った時から3か月」とされる期限を特例的に変更するもので、震災から3か月の6月11日にすでに期限を迎えた人もさかのぼって救済する。
 延期は、東日本大震災で災害救助法が適用された岩手、宮城、福島3県全域と青森、茨城、栃木、千葉、新潟、長野県の一部市町村に住所がある親族らが申請できる。自らが被災した親族らの救済が目的であるため、死因が震災かどうかは無関係で、震災の3か月前に当たる昨年12月11日以降に相続を知った人が対象となる。

平成23年6月17日に成立した「東日本大震災に伴う相続の承認又は放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律」

認定死亡
籍法上の制度で、死亡が確認できないが死亡と認定することを指します。戸籍法上死亡届には、死亡診断書(死亡証明書)か死体検案書(変死の場合)のいずれかの添付を必要とし、これらは医師が死体を確認したうえで作成するために、飛行機の海上での墜落や炭鉱での落石事故のように、死亡したのは確実と思われる場合でも、死体が発見されないと戸籍への死亡の記載ができません。このような不都合を排除するために、その事故の取り調べを行った官庁または公署の報告により戸籍簿へ死亡記載を可能にしています。保険会社はその報告等によって死亡保険金を遺族に支払います。


一日中任意後見契約書の文案作成+茨木、吹田のとある風景

 本日は朝一番、病院へ行き、後見契約の条項の詰め、その後1日中、契約書の文案作成

任意後見契約は通常単独で契約書を作成することはなく、以下のとおり、複数契約書と付随する公正証書を作成します。

基本契約

1.見守り契約

2.財産管理等委任契約

3.任意後見契約

4.死後事務委任契約

オプションで、

遺言公正証書

尊厳死事実実験公正証書

これらが、それぞれ、矛盾せず整合性のある契約になっている必要があり、

遺言と死後事務委任契約との振り分けも考える必要があります。

時に袋小路に入って抜け出れなくなることも!

一日中事務所で唸っていたので、過去に撮影した映像を!

吹田市内のホテル阪急万博公園

矢印型の特徴的な外観

自宅近くの風景

茨木市内の住宅街


AM遺言執行|PM後見:面会

もう昨日のことですが、午前中は遺言執行で金融機関へ。

いろいろあって、午前は潰れました。いろいろのことは長くなるので、別記事で!

吹田市内です

昼から、施設入所の被後見人さんと面会へ

施設の入口付近

可愛らしいですね

この写真は施設の入口付近にいるたぬきです。全て入所者の方がお世話してます。

施設内の植木は手入れが行き届いています

いつも感心します。手入れは完璧

いつ行っても、本当にきれいです。


危急時遺言

過去に1度だけ危急時遺言の口授筆記証人を経験したことがあります。
遺言と言えば普通方式の遺言=自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言は広く知られていると思います。
 私が経験したのはいわゆる死亡危急時遺言で、遺言者の入所施設で遺言書作成を行いました。
遺言者の発する言葉を書きとめて、遺言の体裁にして、本人に読み聞かせ、証人(口授筆記者+2名)も確認の上署名押印しするのですが、これが簡単ではなく、結構時間がかかるのです。
 事前にある程度どんな財産が何処にあるのかも、前提知識としてもっていないと、そこですぐに作成するのは難しいかもしれません。
 実はその後も、色々な手続を行わなければなりません。

 第1に遺言書作成日から20日以内に遺言書確認の申立を家庭裁判所に申立を行う必要があります(20日以内に行わないと失効してしまうからです)。
 私は戸籍の取り寄せやらで10日後に確認の申立を行いました。
 そうすると、今度は裁判所調査官が、遺言者のもとに出向き、遺言書がその真意に基づいて作成されたものかどうかを調査するのです。しかし、残念ながら、私が担当したこの事件では確認申立を行った翌日に遺言者は亡くなってしまいました。

 そうすると、裁判所調査官は今度は聞き込みを開始します。
 証人3人に会うのはもちろんのこと、遺言時の前後の遺言者の状態を入所施設や病院に、医師にも面会して、その遺言が真意に基づいたものかどうかを調査していました。
 遺言書には遺言者が生前お世話になった福祉施設に寄付するという項目もあったので、調査官はそこにも出向き、生前の遺言者との関係も施設の職員に尋ねていました。
それから、裁判所調査官が私と面接した際に調査官からこんなアドバイスを頂きました。
非常に印象に残っています。

調査官「佐田先生、確認の申立が作成日から10日後になっていますがどうしてですか?」

私 「えーット、それはまあ、戸籍とか取り寄せていたら、すぐ時間が経過してしまって、まあでも私としてはそんなに申立が遅いと言う認識はないのですが」

調査官「先生、この危急時遺言と言うのは、遺言者が自分の死が近いことを自ら悟って、最後に残っているわずかな力で何とか自分の意思を残そうとしたものですよね」

 私 「それは良くわかっているつもりです」

調査官「だから遺言書を作ったら、可及的速やかに、裁判所が確認を行うべきで、できるだけ本人からその意思を確認したいと私たちは思っています」

 私「なるほど」

調査官「ですから、今後また、遺言の確認の申立をする機会があるようなら、まずは遺言書作成の翌日にでも確認申立をしてください。他の必要書類は後から裁判所に追完していただければ、それでいいんです」

 後日、家事審判官からの審問も受け、遺言書は「遺言者の真意に基づいて作成されたものである」との確認を受けました。
 ただ、こんなに大変な思いをして確認を経ても遺言書作成後6ヶ月以上遺言者が生存していると、結局遺言書は失効してしまうのです。
第2に遺言書の検認手続きを行う必要もあります。

私は遺言で遺言執行者に選任されていたので、それから、各相続人に就任の報告を行い、遺言執行の業務開始となったのですが、遺言執行の事務についてはまた次の機会に。