成年後見人と民法714条法監督義務者責任(1)

 平成16年2月25日の放課後,本件校庭において,友人らと共にサッカーボールを用いてフリーキックの練習をしていた
11歳の少年のけったボールが、バイクを運転していた80歳代の男性の前に転がってきて、避けようとした男性が転倒し、約1年半後に死亡したという 愛媛県今治市で起きた事案です。まずこの事件いついては、民法の条文の基本的理解が不可欠です。

——-以下民法条文——–
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
——-略——–

(責任能力)
第712条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

第713条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第714条 前2条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
——-ここまで民法条文——–
不法行為責任を定めた条文は709条です。その不行為の加害者に責任能力がない場合(未成年者は712条、精神に障害がある場合は713条)は、714条で法定監督義務者が責任を負うことと、されています。
 (続く)