JR東海事故714条最判振り返り:監督責任(2)

一審の名古屋地裁判決、二審の名古屋高裁の控訴審判決にしても、成年後見は当然のように、民法714条の法定監督義務と認定されていましたので、そこが、専門職後見人と位置付けされている司法書士として、まずいところだと思ってました。平成11年12月に改正民法が成立して現行の成年制度に改められました。それまでは民法858条旧規定では
「禁治産者の後見人は、禁治産者の資力に応じて、その療養看護に努めなければならない。」とされていました。これを後見人の療養看護しなければならない義務と考えられていました。
改正後は、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」という規定に変わっています。成年後見人は被後見人の生活全般に配慮しなさいという規定になっていて改正された時点で、成年後見人は完全に法定監督義務から解放されたはずだと思っていましたので、最高裁判決で成年後見人は法定監督義務者ではないという認定がされてやっとまともな結論になって胸をなでおろしました。
 
 また、一審二審とも家族、身内の責任を認めていました。特に二審の控訴審では民法752条の夫婦間の同居と相互の扶養の義務から、第三者に対して配偶者の加害行為について責任を認定したのですが、民法752条は夫婦間の同居と相互の扶養の義務を定めたもので、第三者に対する何らかの責任を定めたものではありません。ですから平成26年4月の名古屋高裁判決はこの相互の扶養義務から、無理やり監督責任をひねり出した感じで、違和感は拭えませんでした。そこは今年3月の最高裁判決でははっきりと否定されて、夫婦や親族というだけでは、法定監督義務者には当たらないという妥当なところに行き着いたと思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントフィード

トラックバックURL: http://sada-office.xsrv.jp/archives/2742/trackback