平成20年(受)第468号・平成21年1月22日付最高裁判決後の最初の期日

同判決後の最初の期日が今日ありました。
本人訴訟支援で同行してきたのですが、次回は3月6日以降になりました。やはり相手方は来月の3月6日の第二小法廷の最高裁判決を確認したいようでした。
この判決は、こちらに随分と有利な判決ですが、何かすっきりしないものがあります。ここ最近の充当判例の特色ですね。今後検証していきたいと思っています。以下は自分の論点の整理のためにアップしますのであまり参考になりません。

以下抜粋
2 平成20年(受)第468号・平成21年1月22日付最高裁判決について
(1)基本契約と充当の合意について
充当に関する新たな判断が最高裁第一小法廷でなされたが、同最判は「上記基本契約は,基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。」として金銭消費貸借取引が継続的に繰り返されることを予定した基本契約には充当の合意が含まれていることを明示した。
 
(2)消滅時効について
 
(ア)また同最判は
「借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金の返還を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから,そのように解することはできない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)」と2つの最高裁判決を引用した上、過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することはできないとしている。
 
(イ)その上で
    「したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である。」と結論付けている。

(ウ)引用されている平成19年6月7日第一小法廷判決は平成20年6月7日付原告準備書面でも引用したとおり、基本契約に基づいた取引から発生した過払い金が後に発生する借入金に即時充当されることを判示したものである。

(エ)では上記(イ)の「同取引が終了した時点」とはいった何時をいうのか。その点については、もう1つの引用判例である、平成19年4月14日第三小法廷判決が重要な意味を持つ。同判決は、1年ごとに自動更新が繰り返される自動継続特約付定期預金の消滅時効について、「消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)が,(原告において省略)預金者が初回満期日前にこのような行為をして初回満期日に預金の払戻しを請求することを前提に,消滅時効に関し,初回満期日から預金払戻請求権を行使することができると解することは,預金者に対し契約上その自由にゆだねられた行為を事実上行うよう要求するに等しいものであり,自動継続定期預金契約の趣旨に反するというべきである。そうすると,初回満期日前の継続停止の申出が可能であるからといって,預金払戻請求権の消滅時効が初回満期日から進行すると解することはできない。以上によれば,自動継続定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,預金者による解約の申入れがされたことなどにより,それ以降自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行するものと解するのが相当である。」と判示し、具体的な障害が排除され、解約等の自動継続の明確な停止事項が生じた時から、消滅時効は進行するとしたのである。

 (オ)上記2つの引用された平成19年最高裁判決を踏まえて、平成21年1月22日最高裁判決を虚心坦懐に読めば以下のとおりの結論が導き出される。
 
 ①金銭消費貸借が繰り返される取引を予定した基本契約においては同契約に基づく取引から生じた過払金を、弁済当時存在する他の借入金に充当することはもとより、弁済当時他の借入金債務が存在しないときでも、その後に発生する新たな借入金債務に充当する合意を含んでいる。

  ②継続的な金銭消費貸借取引の単純な一時中断の場合、借主が取引を継続させる義務を負っている訳ではないから、中断時点で過払い金の消滅時効の進行が始まる訳ではない。取引を再開する可能性がある以上、過払い請求に対する実質的な障害事由が排除されたとは言えないから、結果として取引中断後、その取引が再開された場合は即時に充当される。従って単純な中断時点から消滅時効が進行するのではなく、契約の解除、破産や債務整理の通知等具体的な契約の終了事由が生じた時点で進行を始める。

3 本件取引について
以下略