敷引有効:最高裁判決 平成21年(受)第1679号 平成23年03月24日判決第1小法廷棄却

この裁判では、京阪神間でよくある、賃貸住宅の敷引特約が消費者契約法第10条に該当し、無効なのかどうかが、争点となっていました。

 実は、私はこの事件が最高裁で受理されて、判決が出る前に、全く同じパターンで、敷引特約が消費者契約法10条に該当し無効であるという論旨の下、敷金全額の返還請求訴訟を提起していました。第1回目の期日の2週間前にこの最判が出たので、正直焦りました。しかし、この判決論旨では、すべての敷引特約が有効だと言ってるわけではないのです。

以下同判決核心部分の引用

「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当である。

(3) これを本件についてみると,本件特約は,契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金から控除するというものであって,本件敷引金の額が,契約の経過年数や本件建物の場所,専有面積等に照らし,本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。また,本件契約における賃料は月額9万6000円であって,本件敷引金の額は,上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて,上告人は,本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。
そうすると,本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。」

最近の最高裁判決はこういう感じの多いですね。結局よく分からない。本判決も「結局どれくらいなら敷引OK」なのかは「一時金の支払いがあったかどうか」、「契約年数」、「賃料との比較でその時々で、妥当な範囲」で有効って言ってるんですよね。

「過払い金の一連充当計算可能か、別取引か」の平成20年1月18日付の判決も、基準を7つも示しておきながら、じゃあそのうちどれくらい該当したら、一連充当OKなのかは全く不明でした。(ここで重要なのは、別取引となってしまうと、前の取引が時効にかかってしまうことがあり、金額が大きく異なってしまうことです)。

世の中が複雑化していて、価値観も多様化しているので仕方ないと思います。しかし具体的ケースではどれも少しづつ、個性が違うのは仕方ないとして、裁判官の考え方も統一的でなく、時々開示される裁判官の心証も予想外だったりします。心証開示というのは、提起された訴訟事案についてについての中間意見みないなものです。だいたいボソッと不利な方に顔を向けて、語りかけてきます。 どき!(汗)という感じです。

大阪家庭裁判所

この裁判所ではありません

 

 で、話を戻して、私が代理人を務めた敷引無効、敷金全額返せの裁判でも、裁判官からかなりはっきりした心証開示がありました。結局5分5分の和解になりました。内容知りたいですか?でも残念ながら心証開示の内容は「秘密=不開示」でお願いします。

 だって、事案ごとに結果がいろいろ異なってくると思うので、かえって参考にならにでしょう。

久しぶりに法律家らしい話題でした。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントフィード

トラックバックURL: http://sada-office.xsrv.jp/archives/267/trackback