新しい後見の姿

①専門職後見人の育成
 私たちは司法書士という職業で、家庭裁判所をはじめ社会の中では専門職後見人という評価を得ています。しかしながら、司法書士という資格だけでは、専門職後見人と資質はそなわっていないという、高見さんの意見はその通りだと思います。ですので、司法書士会では、成年後見センター・リーガルサポートという別法人を平成11年に設立し、成年後見の職務に必要な知識の習得を目的として、一定単位の研修受講を義務付けています。その内容も法律だけではなく、認知症や、精神障がい者の方がに対する理解、社会保障や、支援する方々等の役割等についても知識を深めており、更に倫理感の醸成にも努めています。また、リーガルサポートに対して後見業務に関する報告をコンピュータシステムを使用して提出を義務づけ、不正の対策防止を行っています。
②利用率の向上 冒頭のあいさつでも申しましたが、やはり、成年後見制度はまだまだ、普及しておらず、一般の方から見れば、利用しにくいイメージがあるのだと思います。現在の成年後見制度は確かに硬直的な部分が多々あり、実際使いづらい面もあるのは確かです。一度成年後見が開始すると、実際には本人が亡くなるまで、後見が終了することは原則とありません。人生の一場面でのスポット的な利用法等柔軟な制度へ改革していく必要があるのでないかと感じています。
今年4月には成年後見制度利用促進法が成立し5月には施行されています。今後は政府、専門職団体主導のもと、制度そのものが改革されいくことになっています。それに期待したいと思います。
 
③市民後見人の育成
市民後見人についても成年後見制度利用促進法にその育成の促進が規定されています。
市民後見人の位置付けをはっきりさせておきたいと思います。専門職後見人後見人でもなく、親族後見人でもない後見人です。地域社会の中で社会貢献として活躍している後見人です。活躍している市民後見人は、専門職後見人である司法書士や弁護士、社会福祉士の支援を受けて活躍しています。  
定期的に市民後見人と被後見人が住んでいる地元の市役所で、司法書士などの専門職後見人が市民後見人の相談を受けて、週に1回程度、被後見人ものとを訪問して、寄り添う形で後見業務を行っています。
 大阪では特に大阪市が日本全体の中でも、先進的に市民後見人の育成に取り組んできました。
 大阪市では平成20年1月、つまり今から8年半前に市民後見人第1号が選任されました。現在までに大阪府内で160名以上の方が活躍しておられます。