未成年後見人複数選任OK(民法改正4月1日施行)


 昨年6月に民法の親権喪失制度、未成年後見制度の改正が行われ(平成二十三年六月三日法律第六十一号) 、今月4月1日に施行されました。
 今までは未成年後見人は1人でなければならず、法人は就任することはできませんでした。
しかし、新法施行後は、複数選任もOKで、法人も就任することができるようになりました。
 従前は、未成年後見人は原則親等の近い親族のみが、原則未成年後見人の候補者と考得られていた訳です。
親族以外が就任するのは例外中の例外だったのですが、今後は候補者の選択肢が大幅に増えたことになります。
また、複数選任を前提に財産管理のみを行う未成年後見人も想定されています(857条の2)。
 こうなってくると、成年後見分野でトップランナーである司法書士も、未成年者後見人制度と密接にかかわってくるようになるものと考えられます。

以下条文を確認しておきます。

「旧民法842条
未成年後見人は、一人でなければならない。」

この規定は削除され

新しく民法840条に2項以下が追加されました。
------新法------
(未成年後見人の選任)
第八百四十条  前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。
2  未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる。
3  未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
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さらに857条の2が新設されました。
------新法------
(未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第八百五十七条の二  未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
2  未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
3  未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
4  家庭裁判所は、職権で、前二項の規定による定めを取り消すことができる。
5  未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
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